女優。
なんと魅惑に満ちた響きを持つ言葉なんでしょう!
華やかなスポットライトを一人占めにし、あまたの人々の視線によってそのオーラはさらに妖しい輝きを増して・・・あぁ、今度生まれ変わったら、アタシは女優になりたいわ!!
アタシが生まれて始めて好きになった女優、名前を意識的に覚えて追いかけはじめたその人の名は
小川真由美。
きっかけは確かNHKだったと思うんだけど’海辺のマリア’ってドラマ。真由美は当時できたばっかりのポートピアに住む蒸発妻の役。「あら、○○さんの奥さんじゃなぁい?」って誰かにばれそうになって、真由美が凄い勢いで逃げまくってたシーンをなんとなく覚えてるわ。場末のキャバレーかどっかで大衆演劇の役者をして生計を立ててるんだけど、そのお芝居のシーンで一緒に見ていた父が突然大声で笑い出したの。
「小川真由美は
おもしろいなぁ!」
おもしろい。
今振り返ると父のこの言葉、小川真由美という女優の本質をピタリと言い当てていたような気がするわ。
女優に対して「綺麗」でもなく「うまい」でもなく
おもしろい。
いいえ、小川真由美は決してヘタな女優じゃないのよ。むしろ高度な演技力を持つ女優だわ。ただその演技力は、なんて言ったらいいのかしらねぇ。直球のうまさじゃないのよ。演技の玉手箱とでも表現したらいいのかしら?しばしば予測のつかない芝居で楽しませてくれるの。そして彼女はもちろん真剣に演技してるんだけど、なんとなくおかしいのよ。どんなに悲しい場面でも、切迫した状況でも、彼女がみせる変化球の芝居は、えもいわれぬおもしろみをかもし出して強烈なインパクトを残すの。彼女の演技をみた後は、その独特のセリフ廻しや表情を真似してみたくなるほどよ。かと言って、浮きまくってそのシーンをぶち壊してしまうわけでもなく。たいした役者だわ・・・
その頃アタシは小学生。演技がどうとかそんなこともちろん分かってなかったと思うけど、すでにオカマだったアタシは
ゲイの本能でそれを嗅ぎつけてしまったのね、きっと・・・だって、普通のガキなら清純派の吉永小百合や、当時若くて人気のあった夏目雅子のような美しい女優たちに興味を持ちそうなものだもの。
それからは真由美の名前を新聞のテレビ欄で見つけるたびに必ず追いかけたわ。その頃は2時間ドラマ全盛期で、幸いにもよく出てくれてたし。母が買う女性週刊誌にも真由美の記事があれば夢中で読んで。元パートナーの橋爪功と共演したNHKのラジオドラマまで録音して、何度も何度も聞いたわよ。
中でもアタシ的に一番のヒットだったのは、NHK大河ドラマ’武田信玄’で演じた
八重ね。信玄の妻を演じた紺野美沙子に仕える乳母の役。うす〜いまん丸眉に「○○しゃっしゃりませぇ〜」みたいな公家ことばを駆使して、「あの田舎侍なぞ」とあれこれ策略するその姿は圧巻だったわ。
映画を見始めるようになってからは、真由美が出演してる作品ももちろんたくさん見たわ。初期の’陸軍中野学校’、代表作と言われる’復讐するは我にあり’、化け物になっちまう’八つ墓村’、貞操帯付けて熱演の’さらば箱舟’・・・もともとは舞台出身の人だけど、映画でもいい仕事いっぱいしてるのよ。特に’
鬼畜’は凄かったわ。出番は少な〜いのよ。2時間程の上映時間の中で冒頭から登場して10分ばかりかしら。
本妻=
岩下志麻 亭主=緒形拳
愛人=
小川真由美 とにかく志麻VS真由美のバトルの凄まじさと言ったら!罵り合う二人のド迫力!!本当はもっと長いシーンなのに、ショック死する観客を懸念した監督が大幅にカットしたんじゃないかしらって疑ってしまうほどだわ。まぁ、とにかく見てごらんなさいましな!特にア〜タがオカマならね。こんなにカマ心くすぐるシーンなんて滅多に見られるもんじゃないからさ!!
真由美も今では67歳。演じる役が少ないからか、本人の事情なのか、最近は映画でもテレビでもご無沙汰・・・舞台にはたまに出てるみたいだけど。寂しいわねぇ・・・。思えば彼女のような女優をお茶の間で気軽に見られたあの頃って、ほんとに贅沢な時代だったと思うわ。真由美なら、今のドラマに出ても画面をピシッと引き締めてくれるスパイスになってくれると思うんだけどねぇ・・・
下の写真は土曜ワイド劇場「江戸川乱歩シリーズ(8) 悪魔のような美女」で黒蜥蜴を演じる真由美。パックだけで若い女に変装した気になってる、ちょっとおまぬけな真由美よ!クリックしたら大きく見られるわよぉ〜^0^/